を前面に出して上り調子な某自動車メーカーが、ブレーキ系統の不具合でリコールを発表したようです。ブレーキ系統の不具合で我が家の車(そのメーカーではない)も先日入院させたところですが、快適に安全に乗りたいものです。

なんだか今更感は否めませんが、オートパイロットトラクタについてニュースになっていましたね。先日私のブログにもリンクを貼った、コマツのことも書かれていました。

【農・鉱分野にも自動運転の波 無人ダンプに自律航行船…課題は価格】
http://www.sankeibiz.jp/business/news/170724/bsc1707240500001-n1.htm

私の出身研究室では随分昔から自律走行トラクタの研究開発をしていて、講演会の度に先生が「あと5年もすれば製品化するでしょう」なんてお話されていました。10年以上も前の話ですけど。前述の記事ではI社やK社のことが書かれていましたが、Y社は一足先に世に送り込んだようで、農水省の地域戦略PJなどで試験されていたようです。

課題は価格だというのは、これはごもっともな話だとは思います。以前、農家さんを対象に「ステアリングアシストやオートガイダンス、自律走行などができるようにトラクタにGNSS受信機等を後付けするために、いくらまでならお金を出しますか?」とアンケートをとったことがありましたが、その際に多かった意見は「トラクタの価格の15%程度」とのことでした。このあたりは、自家用車を購入した際のオプションにかける費用と、感覚は似ているのでしょう。1周波GNSSの登場により、使い方や他のセンサとの組み合わせ次第では、いとも簡単に達成できる話になりつつあるかと思います。

では、本当に世の中は自律走行トラクタを望んでいるのだろうか?という、へそ曲がりな私には素朴な疑問が湧くわけであります。北海道とそれ以外の地域では営農形態や思想が違うので、日本国内だけで扱うには少々無理がある議題ではあろうかと感じます。ただ、ヒアリングをしたなかで興味深い意見として、

「農事組合法人など地域の方が集まって営農している場合、自律走行トラクタを導入すると、彼らの仕事を奪うことになり、結果として人手不足を解消するという本来の目的は達成できない」

「単純・均一作業をさせるには向いているが、ヒトの判断を要する作業においては使い勝手が悪く、せっかくのポテンシャルを持て余す」

といった、ネガティブな意見があることも事実です。もちろん、IoTという要素が入ってくるわけですから、これまでとは違った範囲においての仕事量は増える方向にもなるわけです。へそ曲がりが抱く疑問については、日夜研究・開発に携わる方々へ敬意を表して多くのコメントは差し控えたいところではありますが、価格が下がったとしてもこれらのアレルギー反応については依然として残ったままなので、農業分野に限って言えば、今のままでは爆発的なヒットとまではいかないだろうなと思うのです。

「まっすぐ走る」ことが得意であるオートガイダンスを導入した農家さんなどからは「作業時の疲れがすごく減った」という声が聞かれます。これ以上のことができる自律走行トラクタが便利で快適な機能を有することは疑う余地はありません。SIP、農水省PJをはじめとした実証試験の場で、研究者・開発者がどうアピールをするか、興味どころではあります。

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